高卒採用は、まだ社会のことをよく知らない若者たちを採用するものです。そのため、彼らが企業に対して求めることや、仕事に対する考え方も大学新卒や中途採用とは異なってきます。何に希望を抱き、何を不安に感じているのか――高校生だからこその価値観や職業観をしっかり押さえて、「選ばれる企業」を目指しましょう!

就職を希望する高校生たちは、企業のここを見ている!

採用活動は、企業側が求職者(高校生)を選別する行為であるのは事実です。しかし同時に、企業側も高校生から「選別されている」立場であることを忘れてはいけません。自分の人生に大きく影響を及ぼす「就職」なのですから当然です。他社と比較しながら、どの会社が自分に合うのか真剣に見極めようとしています。では高校生たちは、実際に企業の何を重点的に見ているのでしょう?

安定して働ける企業か

そもそも高卒で就職を希望する若者たちは、なぜそれを選んだのでしょうか。
東京大学大学院が調査した「両親年収別の高校卒業後の進路」によると、家庭の収入が少ないほど就職率が高くなり、多いほど進学率が高くなることが分かっています。例えば、年収200万円以下の家庭では就職率が35.9%、四年制大学進学率が28.2%であるのに対し、年収1200万円超では就職率5.4%、四年制大学進学率62.8%です。


他のアンケート調査でも、就職を決めた理由の上位を「自立して稼げるようになりたい」「経済的理由」が占めています。高卒就職希望者にとって、自身の経済的な背景は進路選択に影響を与えやすく、「安定して働ける」ことは魅力的に映るのでしょう。
加えて、いわゆる“Z世代”の若者たちは、もともとお金や仕事に対して保守的な価値観を持っています。ハングリーさやベンチャー精神は、30代以上と比べると低い傾向が強く、「最近の若者は……」と言いたくなるかもしれません。しかし、時代によって価値観は変わるもの。まずは冷静に彼らの気持ちを理解することが、選ばれる企業になるための第一歩だと言えるでしょう。

労働環境や福利厚生は充実しているか

安定性重視の価値観は、ここにも強く影響しています。
確かに高校生の多くは、「労働環境」「福利厚生」と言われてもピンとこないかもしれません。しかし、学校の先生から「社会保険が完備されているかチェックするように」など、指導やアドバイスは受けています。特別に厚遇ではなかったとしても、最低限の安心は提供できることが大前提です。

自己判断で企業を選ぶ大学新卒の就活と違って、まだまだ先生方の影響力が強いもの。高校生の知識だけでは見落としがちな、人材の育成方針や離職率などもきっちりチェックされていますよ。

やりたい仕事か・やりたいことができるか

ここまで挙げてきたのは、言わば「どれだけ安心して働けるか」という外因的な要素です。しかし、それさえ満たせばどんな仕事でもいいと考えているわけではありません。高校生もきちんと仕事にやりがいを求めています。楽しそうか、自分の個性が活かせそうかは重視していますし、同い年の大卒者より早く社会に出るぶん、しっかり経験を積んでスキルアップしたいという向上心もあるのです。


また、その仕事が世の中でどのように役立っているのか、社会的な貢献度もものさしの一つ。BIGLOBEが18~25歳の男女を対象に行った「Z世代の意識調査」によると、「世の中の役に立ちたい」「社会に貢献できる仕事がしたい」と答えた人は、ともに6割を超えるという結果も出ています。
待遇や環境面だけでなく、仕事そのものの魅力や社会的意義を伝えていく視点が欠かせないでしょう。

高校生や先生が知りたい企業情報4選!

高卒での就職活動では、企業側が高校生に直接コンタクトを取ることはルール上禁止されており、学校の先生を介して連絡を取る必要があります。企業としては何とももどかしい気持ちになりますが、それは高校生も同じ部分があるかもしれません。自分が気になったことや知りたいことを、直接企業の担当者に聞くことができないからです。実際のところ、先生方や高校生は企業の何を知りたいと思っているのでしょうか。

入社後にどんな仕事をするか

高卒就職者の離職率は、大卒者に比べて高い傾向があります。新卒後3年以内の離職率が中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割程度であることを揶揄する、「七五三現象」という言葉もあるほど。

根本にあるのは企業側の説明不足、あるいは求職者側の理解不足による「(仕事内容が)思っていたのと違った」というミスマッチです。しかし高卒就職の場合、大学新卒のように企業研究などの環境が整っていません。加えて、まだ社会に出たことのない若者たちですから、仕事内容を想像しにくいのは無理もないこと。求人票の職種名に「製造部員」、職務内容に「商品の製造・梱包・運搬業務」とだけ書かれていても、イメージできないですよね。

したがって、できるだけ彼らの目線に立った分かりやすい仕事内容の説明を心がけたいところ。いかに「その会社で働く自分の姿」をイメージできるかがポイントです。

給与や休日などの待遇面

高校生が就職を希望する理由に、経済的な事情が強く影響を与えているのは上述のとおりです。したがって給与は純粋に重視されます。しかしいくら給与が高くても、休みなく働くハードな環境では敬遠されます。ある調査によると、9月の1次募集で企業を選ぶ際の決め手TOP3は、1位が「給与」、2位が「仕事内容」、3位が「年間休日」でした。

誰であっても、給料が多くて休みが多いほうが嬉しいのは当然です。「若いうちはお金のことをあれこれ言わずに、修業期間だと思って黙々と働きなさい」という考え方もありますが、現代の若者には通用しないと思ったほうが良いでしょう。

どんな仕事も高卒でいきなり即戦力になるのは難しいですし、最初は給与に見合った働きをしてくれないかもしれません。だから給与が安くても良いと言うのではなく、その給与に相応しい人材にまで育て上げるのが企業側の務めでもあるのです。

先輩社員の声

企業のことを調べる際に求職者が最も話を聞きたいのが、先輩社員だと言われます。社長など「エライ人」からのメッセージよりも、年齢の近い若手社員の言葉のほうが信憑性とリアリティを感じやすいのかもしれません。

もし社員の声を伝えるなら、ぜひおすすめしたいのはやはり同じ高卒社員。貴社を選んだいきさつや、仕事のやりがいを感じた瞬間などのエピソードを語ってもらいましょう。「高卒でも活躍できる!」と伝えてもらうのもいいですね。

さらに適任なのが、同じ高校の出身者。共感度もがぜんアップし、貴社で働くことに強い現実味を感じるはずです。

社内の環境や雰囲気

職場見学に参加した高校生のうち、実際にその企業に就職するのは約半数だという調査結果があります。しかし裏を返せば、半数が「社内の環境や雰囲気を見た結果として、入社をやめた」と捉えることもできるわけで、いかに重要であるか分かりますね。

実際に入社を躊躇した理由としては、「先輩社員がいきいきとしていなかった」「一緒に働きたいという気持ちになれなかった」など「人」に関する要因が多いようです。社員が暗い顔で働いていたり、会話も少なかったりしていては、高校生が「こんなふうになりたくない」と思ってしまうのは当然でしょう。その会社で働く自分の未来に、希望が抱けるかが大事なのです。

また、意外にチェックされているのが、オフィスがキレイかどうか。デスクや玄関まわりが散らかっている企業は敬遠されます。職場見学のときだけ掃除することを見越し、あえて事前にお忍びでオフィス周辺を見に行く先生もいます。

貴社の魅力を高校生や先生方に伝えるために、ぜひハリケンナビの活用を!

高卒就職で基本的な情報源となるのは、ハローワークの求人票です。しかし、限られた紙面で定型的な表現になるため、イメージがわきにくい側面もあります。

ハリケンナビでは、求人票だけでは伝えきれない貴社の魅力を伝えられるツールを豊富にご用意しております。企業の紹介記事、写真や動画のコンテンツなど、高校生にも分かりやすい媒体で届けられるのが特徴です。もちろん、上記の「高校生や先生方がチェックしているポイント」なども、しっかり伝えることができますよ!

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まとめ

つまるところ、高校生が見ているのは「どれだけ入社後の自分の姿をイメージできるか」、そして先生方が見ているのは、「かわいい教え子たちが、良い条件や環境で働けるか」です。

企業側としては、その双方の視点を持ち合わせたアピールが必要になってきます。どちらかだけに偏った発信にならないようにするのがポイントです。大学新卒や中途採用でのアプローチとも、切り口が違います。

彼らが「本当に知りたいこと」を過不足なく押さえ、貴社の魅力を届けてあげてくださいね。